研究概要 |
特別支援学校に通う子どもをもつひとり親家族の家族機能のありようを明らかにし,家族支援策構築への示唆を得ることを本研究の目的とした.特別支援学校に通う子どもをもつひとり親家族に協力を依頼し,父親もしくは母親を対象に半構成面接調査とFFFS(Feetham家族機能調査)日本語版Iを用いた質問紙調査を実施した.参加者の承諾を得て面接内容を録音し,逐語録を作成してデータとした.データは家族機能のありようをひとり親の認識をもとに解明する質的記述的研究に,質問紙調査の結果から家族支援の優先度が高い項目を明らかにする補助研究である量的研究を追加したミックス法により分析した.2010年8月から10月の期間に,ひとり親の母親5名に実施した調査の分析内容を継続比較しながら分析を進めていき,新たなカテゴリーが抽出されないことを確かめ,2011年11月に調査を終了した. 参加者は母親7名であった.分析の結果,家族機能遂行のありようとして「障害をもつ子どもが学校に通っている時間を有効に活用している」などの33カテゴリー以上に新たなカテゴリーは抽出されなかった.面接調査と質問紙調査の分析結果から,家族支援の優先度が高い項目は「子どもに関する心配事」「余暇や娯楽の時間」「家事をする時間」「医療機関にかかったり,健康相談を受けること」「家事や育児などに対する身内の協力」であると判断された. 特別支援学校に通う子どもをもつひとり親家族は,子どもが特別支援学校に通っている時間を有効に活用しているため,家族機能を良好に維持するために,子どもが学校に通えることは非常に重要であった。看護職者は,身内・友人などからの周辺支援の拡充,家族の共有時間の確保,社会資源の整備と周知,家族のヘルスケア機能を向上するための健康相談事業の拡充を図り,家族を支援する必要性が示唆された.
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