新しい家族メンバーを迎え、お互いの役割を調整し家族関係を拡大するというダイナミックな発達課題と向き合う養育期初期の家族において、母親就業率が半数に及ぶ現代、養育期の家族の家族機能と最も近い内的な子育て支援者である祖父母の心理的発達との関連を調査し、母親就業や祖父母の支援の違いによる家族機能の変化や特徴および影響因子を明らかにすることは重要と考え、本研究の目的とした。 本年度は、養育期の家族の家族機能の様相を明らかにするための分析枠組みについて、母子看護の専門家よりスーパーバイズを受け再検討を行った。また「祖父母となることの発達」を構成する因子として、先行研究により明らかとなった「社会・文化的関心の拡大」「世代間の親和」「精神的柔和・安定」「未来継承性・自己存在感の確認」「配偶者との親和」「衰えの実感」の6因子を基盤に幼児期の孫をもつ祖父2名・祖母2名(夫婦2組)にインタビューを実施し、孫との関わりや孫支援に関する自身の心理的発達について質的帰納的に分析を行った。孫の母親が就業していない祖父母と孫の関わりは、世話役割より遊びでの関わりが多く、遊びを中心とした関わりのなかで孫との関係性を発達させていく傾向がみられた。一方、孫の母親が就業している祖父母では、孫育てを担っており、孫は日常生活のなかに存在し、孫を育てる役割のなかで孫との関係性を創造していた。また、祖父と祖母は孫育てのなかでの協同作業を通して新たな面の再発見を体験し、お互いの衰えを認め合い協力して孫育てと向き合う姿が浮き彫りとなり、孫育てを通して、関係性の再構築を行っていた。 次年度は、本年度の調査結果を踏まえ、養育期家族の家族機能と祖父母の心理的発達に関する縦断調査を実施する予定である。
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