本研究の目的は、妊娠期から乳児期に至る家族の家族機能と祖父母の心理的発達の関連性を明らかにし、母親就業や祖父母の支援の違いによる家族機能の特徴と影響因子を明らかにすることである。 今年度は、調査対象者を第一子を妊娠している妊婦とその実父、実母とし、出産前の妊娠8~9ヶ月時、児が誕生後1~2ヶ月時に焦点をあて、前方視的に追跡調査をし、祖父母の支援の違いによる家族機能の特徴と影響因子を明らかにした。調査時期は産後の母親の不安が最も高いと指摘されている産後1か月(生後1か月)頃を設定した。 養育期(母親)の家族が共働きの場合、祖父母家族と同居もしく近距離の場所に居住しする割合が高かった。祖父母と孫とのかかわりや孫の世話頻度が高いほど、産後1ヵ月時点の養育期(母親)家族の家族機能は高く、また、産褥育児生活肯定感も高い結果が得られた。また、孫との接触やかかわりが、祖父母の心理的well-being尺度の「人生における目的」因子、「自己受容」因子に影響を与えており、またそれらの因子が高得点の場合、精神的健康とともに主観的健康感も高く評価されていた。 孫の誕生や孫との接触、かかわりは、祖父母世代の心理的well-beingに影響を与える重要な因子であることが改めて明らかとなった。孫の誕生・成長を介して、養育期世代と祖父母世代が相互の役割を尊重しながら遂行し、発達を遂げることが、家族機能をより促進させることにつながることが提示された。
|