研究概要 |
平成22年における研究目的は,(1)早産児の父親が子どもの誕生後1週間での体験と子どもへの思い分析するため,データ収集をする,(2)国外における父親への支援の現状を視察し,国内における父親支援のあり方を考察する,の2点であった。(1)については,生後1か月の時点で,子どもの状態が安定している,日本人同士のカップルである早産児の父親に聞き取り調査を行い,子どもの誕生後1週間での体験と子どもへの思いのデータを継続比較分析した結果,【生きて誕生したことによる安心】【書類の手続きに追われる気持ち】【新たな治療への不安】【小ささゆえの怖さ】【会いたいときに会える安心】【気になる体重の変化】があった。今後は,データを蓄積し,更に詳細に早産児の父親の体験と思いについて分析することが課題である。(2)については,調査対象施設を含めた国内のNICUにおける家族看護の現状と看護師教育に関する聞き取り調査や文献検討から得られた結果と米国のChildren's Hospital Los Angeless NICUを視察した結果との比較を行った。その結果,双方ともにディベロップメンタルケアを中心に置き,子どもと家族への看護を行っていた。相違点は看護師教育であり,米国では家族をシステムとして捉える教育や早期から家族へのサポートとして他職種への相談や調整に関する教育を実施していた。これらの教育は,看護師が父親からの情報収集をする際のコミュニケーションスキルの向上や父親のメンタルヘルスのサポートに繋がっていた。わが国の課題は,家族看護に関する看護師教育であると考える。
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