本研究の目的は助産師のワーク・ライフ・バランス(以下WLB)を高めていくために欠かすことが出来ない、多様な働き方の実現に向けて様々な角度より明らかにし、助産師、ケアを受ける妊産婦、管理者および雇用する側にとっても評価される多様な働き方のモデルを提案することにある。 WLBを成功させていくには、利用する側の利点に着目するだけでなく、その結果がもたらすことに雇用者側が価値をおく必要があることがわかってきた。これまでの就業を継続している助産師へのインタヴューからは、就業を継続するに当たって、家族の協力は欠かせず、さらに、夜間保育やファミリーサポート、シッター、病児・病後時保育など複数利用していることがわかった。助産師の就業先は主に病院やクリニックと助産所等である。業務の種類は、病棟での分娩介助や産褥期のケアに留まらず、助産師外来や母乳外来、育児相談、電話訪問、出産準備クラス、ヨガ等のエクササイズクラスの運営など非常に多岐に及ぶことがわかった。病棟での分娩介助業務は、時間が予測できず且つ途中でケアを中断しづらい特徴があり、一方クラスや予約制の外来業務は比較的時間の予定が立ちやすいということもわかってきた。これまで、妊産婦に評価されるのは助産師による継続的なケアであることがわかっている。助産師による継続的なケアのためには、妊娠期からの助産師外来、準備クラスに始まり、産後の育児相談や、母乳外来、電話相談などにつながっていく。これらの業務には経験が豊かな助産師が必要であることがわかっている。今後は子育てをしながら就業を継続している助産師の働き方として、これらの業務との関連性を見ていく。
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