研究概要 |
高齢女性が地域社会の一員として心身ともに豊かに暮らしていくには、前期高齢期からの介護予防ケアが重要であり、その内容は身体機能や運動機能の介入・評価のみならず、社会活動も含めていく必要がある。本研究は、要支援前期高齢女性の社会活動の実態を測定し、社会活動に着目した介護予防ケアに寄与する、「要支援前期高齢女性の社会活動尺度」を開発することを目的とする。 平成22年度は1.要支援前期高齢女性の社会活動の特徴、2.高齢者の社会活動に関する概念整理、3.尺度項目案と尺度デザインの検討を行った。1.要支援前期高齢女性の社会活動の特徴について、質的記述的に分析を行い15個のカテゴリーを抽出し、カテゴリー間の関係性を検討した。2,高齢者の社会活動に関する概念整理は、Rodgersの概念分析のアプローチに基づき実施し、特性、先行因子、帰結を抽出した。3.尺度項目案と尺度デザインの検討は、要支援にある独居の前期高齢女性の社会活動の特徴(平野ら,2011)、要支援にある独居の前期高齢女性の社会活動に対する意味づけ(平野ら,2010)の結果をもとに作成した。 平成23年度は尺度項目の内容妥当性を確認するため、A県の地域包括支援センター職員70名を対象に無記名自記式質問し調査を実施した。調査票の回収数および有効回答数は26(有効回答率34.7%)であった。結果、要支援前期高齢女性の社会活動に関する項目70項目のうち、「適切」の回答が70%以下の項目は9項目であった。また、要支援前期高齢女性の社会活動の意味づけに関する項目44項目のうち、「適切」の回答が70%以下の項目は8項目であった。 今後は、要支援認定を受けた高齢女性を対象に調査を行い、要支援前期高齢女性の社会活動尺度項目の精錬化を行っていく必要がある。
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