本研究の目的は、統合失調症を始めとする精神疾患の早期段階から患者のセルフケア能力の向上を図り、再発の予防や社会復帰の促進に期待できるような心理・社会的介入プログラムを開発することであった。イギリスで使用されているプログラムを基に、東北大学病院早期支援チームであるSAFEクリニックで作成した心理・社会プログラムを対象の患者に実施した。6名の患者に本プログラムを実施することができた。FEP(治療開始後5年以内)と診断された年齢14~35才で入院中の患者を対象とした。本プログラムは病状が落ち着き始めた時期に通常治療に付加して行った。対象者には、病棟で45分程度の個別面接を20回程度実施した。 対象者の平均年齢は約24歳(16~31歳)内訳は男性3名および女性3名、プログラムは、週に1~2回、30分~50分のペースで行われ、平均実施回数は19.5回(14~28回)であった。プログラム実施による病状悪化は認められず、途中での脱落者はいなかった。プログラムを受けたすべての患者が退院に至った。本プログラムに対する対象者のニーズとしては、再発予防を知りたい、家族に自分の症状や苦しみを知ってもらいたい、疾患についての理解や付き合い方を知りたい、症状コントロールをしたい、治療への不信感を軽減したい、疾患について自分で抱える偏見を何とかしたいといった内容が含まれていた。終了後のアンケートでは、「満足のいくサービスであった」「今後の生活の役に立つ」「一緒に問題について話し合ったり考えたりすることができた」という評価が多かった。また、感想としては、「自分の病状を視覚化して再認識出来たことが良かった」「再発の予防サインを知ることができたことが良かった」などが挙げられた。
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