研究概要 |
【研究目的】本研究では、訪問看護ステーションのサービス供給の関連要因を明らかにするために、以下の2つを旨的とした。まず、観察単位を訪問看護ステーションとした公表全国調査データを用い、看護職員常勤換算1人あたりの訪問看護利用者数およびその関連要因を明らかにした(研究1)。2つ目に訪問看護ステーションの看護職員の離職・定着に着目し、1県における訪問看護職員の離職意向および職務満足度に関連する要因を明らかにした(研究2)。【方法】研究1では各都道府県の介護サービス情報公表システムをデータソースとし、訪問看護サービスを提供している事業所のデータベースを構築した。このデータベースを用い、看護職員常勤換算1人あたりの利用者数を算出・記述するとともに、関連要因の検討を行った。研究2では茨城県内の訪問看護ステーションで従事している看護職員を対象とした調査データを用い、看護職員の離職意向・職務満足度に関連する要因を多変量解析により分析した。【結果・考察】研究1では、平成24年1月時点で情報公表していた訪問看護ステーション5,858事業所のうち、看護職員常勤換算数が欠損(n=324)、利用者数が欠損(n=157)、看護職員常勤換算数よりもリハビリ職員常勤換算数が多い事業所(n=237)を除外した5,140事業所を分析対象とした。看護職員常勤換算1人あたりの利用者数は中央値9.8人(四分位:6.6-13.5)であった。単変量解析では、病院、訪問リハ、居宅療養管理指導提供施設、介護老人保健施設併設、療養型医療施設併設等、医療サービスを提供している施設に併設、さらに居宅介護支援事業所併設、訪問介護事業所に非併設、生活保護機関の指定ありの事業所は看護職員常勤換算1人あたりの利用者数が多かった。理学療法士/作業療法士を配置、事務職員を配置、管理者が他業務と兼務、日曜日・祝日の営業を行っていない、24時間電話連絡対応/緊急訪問対応あり、各種医療処置を実施している、終末期ケア実施、利用者調査を実施、その結果を開示している事業所は、看護職員常勤換算1人あたりの利用者数がより多かった。さらに地域特性を加味した分析を行うとともに、各都道府県の看護職員の必要量についても検討したい。研究2では多変量解析の結果、職務満足度が低いこと、訪問看護師の経験年数が短いほど離職したいと考える割合が高かった。さらに、職務満足度に関連する要因では、勤務に関する希望がかなえられている割合が高いことが高い職務満足度に関連することが明らかになった。
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