本研究の目的は、日本の訪問看護実践に特徴的な行動と信念、およびそれらに変化をもたらす要因を明らかにすることである。3年計画で行う本研究の初年度である平成22年度は、訪問看護実践に内在する看護職者の行動と信念を把握する質問紙を作成するためのデータ収集を行うことを具体的な目的とした。 医学中央雑誌web版を用いて「訪問看護」and「学生」「新人」「特徴」「特性」「能力」「教育」「行動」「信念」などをキーワードにして、文献を収集し、質的メタ統合の方法を参考にして、訪問看護実践に内在する看護職者の行動と信念の特徴を示す要素を抽出した。 所属大学の倫理審査委員会の承認を受けた後、関東圏と関西圏の訪問看護ステーションに所属する熟練訪問看護師(管理者、訪問看護認定看護師)と新人訪問看護師、合計11名を対象として、「患者・家族への寄り添い方」「看護職者としての役割」「他職種との役割分担・連携」「医療と生活の兼ね合い」「その他」「病院看護と在宅看護の違いがゆえに経験した失敗談」について訪問看護実践の特徴を尋ねるインタビュー調査を実施した。 14th East Asian Forum of Nursing Scholars(韓国・ソウル)に参加し、在宅高齢者を介護する家族に対する訪問看護支援についての研究成果の発表と意見交換を行った。 以上の取り組みをもとに、訪問看護実践に内在する看護職者の行動と信念を把握する質問紙を作成するための基礎的データを収集することができた。
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