本研究の目的は、日本の訪問看護実践に特徴的な行動と信念、およびそれらに変化をもたらす要因を明らかにすることである。3年計画で行う本研究の2年目である平成23年度は、訪問看護実践に内在する看護職者の行動と信念を把握するための質問紙の作成と、それを用いた新人訪問看護師の追跡調査の準備を行った。 文献検索データベース医学中央雑誌WEB版Ver.5を中心に検索して収集した訪問看護実践に関する質的研究論文を対象として、質的メタ統合の方法を参考にした文献レビューを行い、<利用者・家族の人生や生活を尊重して支援する><内省して自己を高め続ける>など15カテゴリーの訪問看護師の行動と信念を明らかにした。また、前年度から引き続いて、関東圏と関西圏の訪問看護ステーションに所属する熟練訪問看護師(管理者、訪問看護認定看護師)と新人訪問看護師、合計11名へのインタビュー調査を行い、得られたデータを分析し、「患者・家族への寄り添い方」「看護職者としての役割」「他職種との役割分担・連携」「医療と生活の兼ね合い」「その他」の側面から、訪問看護師の行動と信念を明らかにした。以上の文献レビューとインタビュー調査の結果を統合し、訪問看護実践に内在する看護職者の行動と信念を把握するための質問紙を作成した。 また、第10回国際家族看護学会および日本家族看護学会第18回学術集会に参加し、日本の訪問看護実践の特徴を考察するために、研究成果の発表と意見交換、および情報収集を行った。 最終年度にあたる来年度は、作成した訪問看護実践に内在する看護職者の行動と信念を把握するための質問紙を用いて、新人訪問看護師における行動と信念の経時的変化とその変化をもたらした要因を調査する。
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