本研究の目的は、日本の訪問看護実践に特徴的な行動と信念、およびそれらに変化をもたらす要因を明らかにすることである。最終年度である平成24年度は、文献調査および熟練訪問看護師(管理者、訪問看護認定看護師)へのインタビュー調査の結果をもとに作成したインタビューガイドを用い、新人訪問看護師における行動と信念の経時的変化とその変化をもたらした要因を検討するための調査を実施した。病院・診療所等での勤務経験をもつ関東圏の新人訪問看護師を対象として、各対象者に個別に入職3ヶ月以内、6ヵ月後、入職1年後の3時点におけるインタビュー調査を実施した。調査は所属大学の倫理審査委員会の承認を得て行った。 訪問看護ステーション9箇所から新人訪問看護師合計10名の研究協力が得られ、各対象者に対してインタビュー調査を実施した。その結果、病院のように日課通りに看護は行えない、利用者のできているところに目を向け信頼関係を築く必要がある、利用者と家族が継続できる看護目標を設定する必要がある、ケアマネジャーとの役割分担が難しいなどが病院看護との違いとして語られた。病院経験と対比した戸惑いや葛藤が語られたが、経時的なインタビュー調査により、自身の経験や同僚とのカンファレンスによってこれらの戸惑いや葛藤が変化したことが把握できた。 本研究成果の公表については、結果の一部を35th International Association for Human Caring Conferenceにて発表することが確定している。
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