研究課題/領域番号 |
22792259
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
青木 頼子 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(医学), 助教 (40533477)
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キーワード | 代理意思決定 / 高齢者 / 家族看護 |
研究概要 |
本研究は、入院期間中における高齢配偶者の代理意思決定の特徴を知るために、医療面や生活面における具体的な意思決定の内容および、どれくらいの期間をかけて意思決定がなされていったのかについて、配偶者からインタビューを行い実態を明らかにするものである。これにより、高齢配偶者は、無理のない範囲で後悔しない、その段階で最も適切だと思える意思決定を心理的安定のもとに行うことができる。また、看護師は、今まで家族のみで対応してきた代理意思決定過程に適切な時期に介入する方策を見出すことができると考えている。 本年度は、データ収集と分析を中心に行った。協力病院を北陸3県内11施設に拡大し、計6名の研究参加者を募ることができた。(1名は今回の研究の条件から逸脱したため、除外した。)インタビューは、病棟師長から紹介を受けた時、患者の入院期間に合わせて約3週間毎、転院(退院)後の配偶者の精神状態が落ち着いた頃にそれぞれ行った。場所は病院内の面談室あるいは自宅など研究参加者が希望する所で行い、インタビュー回数は1人につき2~6回、所要時間は30~150分/回であった。分析方法は、質的内容分析Hsieh & Shannon(2005)のDirected content analysisを活用し、帰納的に得られたデータに忠実に分析を進めた。また、インタビューによって得られた質的なデータを多元的に解釈するために、意思決定内容事項記載用紙・日記・手帳などのコピー、看護記録や診療記録からの情報、フィールドノートの結果を活用した。研究データの真実可能性の確保のために、インタビューによって得られた逐語録を研究参加者にフィードバックを行い内容確認を行った。現在、インタビューや観察、文書類の分析を通して多元的に情報を収集し、3名のスーパーバイザーの指導のもと検討を重ねている段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
参加者のリクルート、カルテ開示における倫理面において時間を要したが、あらかじめ1年間という長めのデータ収集期間を設けていたため、6名の研究参加者を募ることができた。(1名は今回の研究の条件から逸脱したため除外した。)5名のインタピューデータと、付加資料として意思決定内容事項記載用紙、日記・手帳等のコピー、看護記録や診療記録からの情報、フィールドノートの結果を活用し、多面的に解釈することにより、5事例の事例毎に見出せる特異性と他事例との共通性を検討できると考えている。よって、得られた結果と文献検討から得られた概念枠組みを参考にすることにより、本研究の目的である意思表示のできない脳血管疾患患者の高齢配偶者が入院中に行った代理意思決定の内容や、それに要した時間とそのプロセスについて明らかにできるのではないかと考えているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後得られたデータのさらなる分析と結果報告を行う予定である。
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