【目的】わが国の思春期の肥満出現率は高く、生活習慣病等の身体的問題のみならず、自尊感情の低下等の心理的問題、不登校等の社会的不適応を引き起こす要因として対策が急務である。近年、ライフスキルは未成年の喫煙等の危険行動との関連が注目されているが、同じく危険行動である不適切な食事・運動等を背景とした「肥満」との関連の検討は不十分である。本研究では、ライフスキルの中でも肥満との関連がほとんど検討されていないコミュニケーションスキル等の「社会的スキル」およびその他要因と、高校生の肥満との関連性を明らかにする。また、明らかとなった関連要因から集団のリスク状態に応じた集団教育プログラムの検討を行うことを目的とした。 【研究方法】有意抽出法にて抽出した高校生1年生約500名(東海地方の高等学校3校)を対象に、(1)質問紙調査および(2)学校からの生徒の身長・体重のデータ提供により高校生の体重管理行動に関連する要因を分析する。質問紙調査の質問項目は、性別、食行動、運動習慣、睡眠(就寝・起床時刻)、メールの使用、ストレッサーと認知的評価、コーピング方略、コミュニケーションスキル、ストレス反応、ソーシャルサポートについてである。 【H22年度実施内容】3校生徒への質問紙調査(調査時期:2010.12~2011.3)を実施した。また学校ごとに身長・体重から得られた肥満度と食行動、運動習慣、睡眠、ストレスへのコーピング方略などの質問項目との関連を性別に検討した結果を報告書にまとめ、各校への報告を行った。今後は、3校全体の分析を行いコミュニケーションスキル等の「社会的スキル」およびその他要因と、高校生の肥満との関連性を明らかにする。また、学校ごとの特徴から高校生の肥満に関する介入について各校の養護教諭等と検討を行う予定である。
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