1)研究成果のうち、データの部分について報告書(精神科訪問看護ステーション用:計8ページ、一般訪問看護ステーション用:計11ページ)を作成し、研究対象者の所属施設(精神科訪問看護ステーション44施設、一般訪問看護ステーション219施設)にフィードバックのために送付した。 2)精神科訪問看護師が受けた暴力の経験に関するデータについて、統計解析を実施した。 (1)各暴力における「暴力を受けた群」と曝力を受けていない群」の基本的な属性の差異について、X^2検定もしくはt検定を実施したところ、「身体的暴力を受けた群」と「受けていない群」では訪問看護経験期間(P=0.013)、精神科訪問看護経験期間(P=0.001)、「言語的暴力を受けた群」と「受けていない群」では訪問看護経験期間(P=0.002)、精神科訪問看護経験期間(P=0.001)、「脅迫・威嚇行為を受けた群」と「受けていない群」では精神科訪問看護経験期間(P=0.018)に有意な差がみられたものの、他の基本的属性においては差がみられなかった。 (2)最も印象的な暴力が発生してからの時間とその暴力に関するIES-R(Imact of Event Scale Revised)の総得点の相関について分析したところ、相関は認められなかった。 (3)IES-Rの総得点に影響を与える要因を明らかにするため、受けた暴力の種別を説明変数として重回帰分析を実施したところ、重相関係数:R=0.430、決定係数:R^2乗=0.185であり、受けた暴力の種別はIES-Rの総得点に与える影響は大きくない可能性が示唆された。またIES-Rスコアの総得点と各質問項目の相関を求め、高い相関を認めた質問項目を説明変数として重回帰分析を実施したところ、「質問2.睡眠の途申で目が覚めてしまう」など幾つかの項目で有意差を認め、重相関係数:R=0.998、決定係数:R^2乗=0.996であった。これらより精神科の利用者からの暴力は、ある程度の割合で起こりうるものの、精神科訪問看護師の属性によらず、暴力が与える影響の大きさは暴力の種別によらない可能性が示唆された。また暴力を受けた精神科訪問看護師に生じる反応には特定の傾向が存在する可能性が示唆された。
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