研究概要 |
本研究では施設高齢者の自律性について他者評価による測定尺度を作成し、その信頼性と妥当性について検討を行った。施設方針を含む施設高齢者の自律性に影響する要因について、先行研究を基に概念枠組みを構築し、項目プールの作成、内容妥当性を検討し30項目5件法からなる尺度の原案を作成した。本調査として、A、B県内の介護老人保健施設2施設、介護老人福祉施設4施設において、便宜的サンプリングにより入所者129名を対象に、職員による聞き取りの質問紙調査を行った。質問紙の構成は、職員の年齢、性別、経験年数、入所者の基本属性として年齢、性別、障害老人の日常生活自立度、認知症高齢者の日常生活自立度判定基準、要介護度、入所期間、Barthel Indexであった。分析方法は項目分析、信頼性の検討はCronbach's α係数、妥当性の検討については基準関連妥当性については既存の関連尺度がないため高齢者の自律性に関連するといわれる日常生活自立度についてBarthel Indexとの関連を求めた。 対象者の属性は平均年齢86.9±7.6歳、女性が82.6%、平均要介護度は3.06±1.2、Barthel Indexは47.1±28.5であり、職員の平均年齢40.2±9.8歳、女性が54.4%、経験年数は13.8±5.6年であった。項目分析では16項目で全回答、14項目で1名を除き回答がみられ欠損値はなく、天井効果、フロア効果も認められなかった。尺度全体のCronbach's α係数は0.911であった。基準関連妥当性についてBarthel Indexとの関連はr=.480,p<0.001と有意な相関が確認され、本尺度が施設高齢者の自律性を測定において、有用な尺度であることが示唆された。
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