本研究の目的は、回復期リハビリテーション病棟看護師の排尿ケアを促進および阻害する要因の探索、検証を通じて、排尿ケアの教育・啓発活動を展開できる看護師の育成を中心とする「回復期リハ病棟看護師の排尿ケア実践強化プログラム」を開発することである。 平成24年度は、回復期リハビリテーション病棟看護師の排尿ケアの質の向上を目的とした現任教育プログラムの検討を行った。平成22年度の回復期リハビリテーション病棟入院患者における下部尿路症状の実態と、排尿ケアの実態調査を基に、平成23年度に回復期リハビリテーション病棟看護師を対象とした現任教育プログラム(案)を作成した。平成23~24年度に高齢者の排尿ケアに実績のある看護学研究者、下部尿路障害の治療に実績のある泌尿器科専門医から意見聴取を行い、内容の精選を図った。次に、回復期リハビリテーション病棟をもつ看護管理者、看護師長、WOC Nsに諮り、現実可能性を検討した。次に、研究同意の得られた回復期リハビリテーション病棟2病棟の看護職30名を対象に、現任教育プログラムを三か月間実施した。現任教育プログラムは、講義、グループワーク、系統的事例検討で構成した。現任教育プログラムの評価は、排尿ケアシステムと排尿ケア、看護師の排尿ケアに対する意欲と実行度、入院患者の下部尿路症状、排尿のセルフケア(排尿管理/排尿動作)についてプログラム前後で調査した。現任教育プログラムは28名が遂行した。排尿ケアシステム・排尿ケアの変化は、初期アセスメントの導入、排尿日誌の活用、尿失禁の種類の判断、蓄尿症状の度合の判断と医師への報告等が両病棟ともみられた。看護師の排尿ケアに対する意欲と実行度は、両病棟とも上昇傾向がみられた。しかし対象者数が少なかったことから、統計学的に有意な差は得られなかった。
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