本研究は、日本で生活する外国人の保健医療福祉サービスの利用状況と文化変容の実態について明らかにし、日本で生活する外国人の文化変容尺度を開発することを目的とした。今年度は、これまでの調査結果をもとに文化変容尺度の質問項目を生成することを研究計画としていた。 平成24年度はエスノグラフィーの手法を用いたフィールドワークを実施し、日本で生活する外国人の文化変容レベルとプロセスについて分析を行った。具体的には、都市部で生活する韓国人のコミュニティや彼らが集まる施設等にて、彼らの文化変容のレベルやプロセスに関する定性的な情報や、保健医療福祉サービスの利用状況についての情報収集を行った。また、彼らを支援する関係者からも彼らの保健医療福祉サービスの利用状況についての情報収集を行った。上記の調査により得られた結果の一部については、研究テーマを「Acculturation level and usage of healthcare services among registered elderly Korean women living in an urban area in Japan」としてまとめた。本研究は、日本の都市部で生活する65歳以上の韓国女性の文化変容レベルと彼らのヘルスケアサービスの利用について明らかにすることを目的とし、分析の結果、彼らは「統合レベル」「分離レベル」の2つの文化変容レベルに分類された。 また、これまでに実施した調査により得られた結果から、日本で生活する外国人の文化変容のレベルやプロセスを構成する項目についての検討を行った。その結果、言語やアイデンティティ、出生場や生育場に加え、日本社会との関係性や自身の国や家族、コミュニティとの関係性、生活習慣について、日本で生活する外国人の文化変容のレベルやプロセスを構成する項目として検討することの必要性が示唆された。
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