平成23年度は、地域高齢者の要介護状態に関する先行研究の文献検討を行うとともに、厚生労働省が発表している介護保険に関するデータをもとに、全国的に地域高齢者がどのような状況にあり、また介護保険についてどのようなサービスをどのぐらい利用しているのか現状分析・整理を行った。 介護保険に関する全国値データの分析(既存データの分析)については、厚生労働省が毎年各月に実施している介護給付費実態調査(平成13年から平成22年までの各年10月審査分)を用い、年齢・時代・世代要因の影響の観点から性別・年齢階級別・要介護度別に特徴を明らかにすることを目的に、分析方法にはAPC分析(中村のベイズ型Age-Period-Cohort分析モデル)を用いた。その結果から特徴的なこととして、介護保険におけるサービス利用に関して、時代効果については男女ともに「要支援以上(要支援・要介護全体)」で平成13年から17年にかけて上昇し、それ以降は時代効果がほぼ横ばいであったことから、介護保険開始から数年かけて制度が普及し、近年においてサービス受給が安定してきたことを示していた。また年齢効果については、どの性別・要介護度においても65歳以上においてほぼ直線的に(ロジット尺度上で)効果が上昇し、年齢があがるにつれてサービス利用が増加する傾向が明らかとなった。世代効果については、1940年代生まれ前後でやや低い状況にあり、この背景については今後検討する必要があることが明らかとなった。
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