平成25年度は、地域で暮らす高齢者が介護保険で初めて要介護認定を受けたあとの状態変化と、それに関係する初回要介護認定時の状態との関連性を検討した。分析対象者は、研究協力の得られた市町村の住民で、2001年から2005年までに初回要介護認定を65歳以上の年齢で受けた高齢者とした。さらに初回要介護認定時の要介護度が「要支援」「要介護1」「要介護2」の軽度要介護者を対象とした。分析方法は、初回認定時の要介護度から悪化した時点までの期間を算出し、Kaplan-Meier法にて初回認定時の要介護度維持率を算出するとともに、Coxの比例ハザードモデルを用いたCox回帰分析を行った。Cox回帰分析では、「性別」、「年齢(前期高齢者(65-74歳)・後期高齢者(65歳以上))」の基本情報と、「初回認定時の障害高齢者の日常生活自立度」、「初回認定時の認知症高齢者の日常生活自立度」をはじめとする要介護認定時の項目を用いて、初回認定時の要介護度からの悪化と有意な関連の項目、さらにハザード比を算出した。統計処理には、IBM SPSS Statistics 20を用い、危険率5%未満を有意とした。 その結果、「年齢」と「初回認定時の認知症高齢者の日常生活自立度」が初回認定時の要介護度からの悪化に有意に関連している結果となり、初回認定時に後期高齢者だった人は前期高齢者の人に比べて、また初回認定時の認知症レベルが重ければ重いほど、要介護度が悪化する傾向になることが明らかとなった。
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