本研研究の目的は、児童・思春期精神科病棟に入院中の子どもに対して、エビデンスに基づいた効果的な看護ケアを提供するための看護援助ガイドラインを開発することである。今年度は、ガイドラインに含むべき臨床問題(クリニカルクエスチョン)を抽出するために、児童・思春期精神科病棟に勤務している看護師を対象に、『患児への個別の関わり』『集団への関わり』『家族への支援』『暴力・暴言への対応』『子どもを知る』『外泊・就学への支援』『医療チームの一員としての関わり』の7領域それぞれにおいて、看護ケア実施時の困難、疑問点についての自由記載を主とする無記名自記式質問紙調査を行った。234名(有効回答率69.6%)を分析対象として内容分析を行い、検討委員会において、クリニカルクエスチョンの分類・命名の妥当性を検討した。その結果、17個のクリニカルクエスチョンを抽出した。これらのクリニカルクエスチョンについて、ガイドラインに盛り込んでいく予定である。 【クリニカルクエスチョンの例】 ・暴力・暴言を受けた時に、どのように自分の感情をコントロールしますか? ・どこまでが、暴力・暴言ですか? ・子どもと良好な関係性を構築するためにはどうすれば良いですか? ・様々な背景をもつ子どもをどのように集団としてまとめていけばよいですか? ・家族機能や養育状況に問題のある家族に関わるためにはどうすれば良いですか? ・目標設定、計画立案・実施に行き詰った時はどうすれば良いですか? ・外泊・就学への支援のために、家庭・学校・地域とどのように連携や調整をすれば良いですか? ・医療者間で共通した認識をもち、統一した対応をするというのはどういうことですか? など。
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