本研究は、思春期の摂食障害患者の生活支援を担う養護教諭と看護職の2職種が主軸となる「IPEによるコミュニティーケアモデル」の開発を目的としている。本年度は、モデル開発のための基礎資料を得るため、1)摂食障害患者への対応における学校保健-医療連携に関する養護教諭のニーズ調査、2)ケアモデル構築に向けた構成要素の抽出、3)IPEを促進するための治療モデルの情報の選定を行った。 まず、養護教諭のニーズ調査として、A県内の中学校および高校の養護教諭への質問紙調査を行った。回答の得られた141名のうち、家族の理解が得られず治療につなげる時期が遅くなった経験は中学で約3割、高校で5割弱であった。また、主治医が生徒や家族に対して行っている摂食障害の説明を知りたいとのニーズは、中高ともに97%にのぼり、加療中の生徒の情報共有についても中高ともに約半数を占め、医療への連携のニーズは高かった。次に、ケアモデル構築に向けた構成要素の抽出では、20名の養護教諭への面接調査の分析において、養護教諭は医師、看護師、MSWとの連携を求めていたが「個人情報の求めづらさ」により阻害されていることが明らかとなった。また、連携促進への課題として「回復につなげるための具体的指示」「養護教諭からの情報提供」「関連専門職との地域ネットワーク」が示された。IPEを促進するためケアモデルにおける治療モデルの情報の検討では、認知行動療法、行動療法、対人関係療法など様々な治療法があることから、今回は養護教諭や看護師が使用可能な患者への面接法を開発し、自己の感情に気付きにくい患者の心理的欲求を明らかにした。この患者の心理的欲求と病期に一定の関連性を認めたため、家族が患者の心理的欲求を回復過程に位置づけることで患者理解を深め、見通しをもった対応が可能となると思われた。今後、これらを統合したケアモデルの構築を検討する
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