研究概要 |
本年度は,摂食障害患者の対応において養護教諭と看護師双方の共通認識で対応にあたれるように,1)疾病理解,2)患者および家族へのアプローチ方法,3)養護教諭の学校保健-医療連携を促進するスキルおよび情報,の3点について両職種が協同でグループ討議を重ねた。養護教諭と看護職のグループは固定で7名であった。ケアモデルの試案を完成させた。 主な構成は、(1)摂食障害の早期発見のための方法、(2)ハイリスク児童・生徒への疾病の説明と関係作りの方法、(3)危機状態における医療機関への受診の勧め方、(4)保護者の理解と支援、(5)回復に向けた長期的な支援とし、時系列に添って、ステップ1から5として、各時期に必要な家族支援や連携促進のための情報を選定した。また、グループ討議を経て、ケアモデルの試案として、まず養護教諭が学内の教員と情報を共有して共通理解の元で児童生徒に関わる必要があることから、養護教諭が学校内で生徒と対応することを主体とした内容を、パンフレット形式で情報を提示することとした。 このパンフレットについて、高校を中心とする養護教諭87名にアンケートを行い,学校保健の場での活用可能性について評価を得た。回答は38名から得られた(回収率43.7%)。5ステップそれぞれの内容について、「重要性の認識」と「目的達成にむけた行動変容」について自己評価を求めたところ、どの項目も半数以上でパンフレットによる変化を認めた概ね良好な評価を得たことから、多職種間で情報共有するための媒体の一つとしての活用が期待された。また、今後のニーズとして、病院における治療の実際や、学校保健-医療連携の具体例、家族に説明するための資料があげられ、引き続き改良が必要である。
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