面接調査で得られたデータを質的記述的に分析した結果、患者が看護師への暴力を防止するために必要な学習内容については、まず、①患者から看護師への暴力が起きやすい患者に関する要因として、<不満が鬱積し我慢できない><攻撃性の強さ><精神症状の悪化><怒りのコントロール不良><ネガティブな感情への対処困難><話すことの難しさ><考えることの難しさ><活動と休息のバランスの乱れ><入院生活におけるストレスの多さ>が抽出された。②患者から看護師への暴力が起きにくい患者に関する要因として、<患者が自分の力に気づく><自分の欲求に目を向ける><怒りのコントロール><対人関係の構築><活動と休息のバランスの維持><患者から看護師への暴力に対する考え方に目を向ける><症状悪化時に対処できる><気軽に話す><思いの表出>が抽出された。また、面接調査で語られた事例について、精神力動理論を用いて分析したところ、③患者が対象に向けて、安全に怒りを表現すること、怒りの奥にある恐怖感を表現し、傷つき、トラウマになるのを防ぐことが明らかになった。 以上をもとに精神科病棟における看護師への暴力防止のための患者教育プログラムを作成した。プログラムの目的は、「精神疾患を持つ患者が、患者から看護師への暴力を防止するために必要な知識や方法を習得することができる」とした。プログラムの構造は、1回60分、合計11回、頻度は1週間に1回程度とした。
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