本研究の目的は、生活習慣病対策として開始された特定保健指導において、対象者のやる気を引き出し、継続可能な行動計画の設定が求められる初回面接に焦点を当て、保健指導を効果的に実施できるような「行動計画設定シート」を開発し、その妥当性・有用性を検証することである。このシートは、保健指導時に対象者の状態を見極め判断する過程と、得た情報や判断したことを記入できる欄を設けた用紙である。これに沿って保健指導を行うことで、初回面接で行動計画を効果的に設定する助けとなり、保健指導の質の確保に寄与することを目指す。 平成22年度は、先行研究から導き出された「保健師の思考過程」を強化するために、さらに対象者数を増やして面接調査をおこなった。具体的には、群馬県内の市町村、健診・保健指導機関に所属し、特定保健指導を実施する保健師であり、保健師主務者に保健指導経験年数が3年以上有り、かつ生活習慣病予防の行動変容を促した保健指導実績がある保健師の推薦を依頼した。推薦・承諾を得られた保健師8人に対し、保健指導場面をICレコーダーに録音した。保健指導終了後ICレコーダーを再生しながら保健指導場面を振り返ってもらい、面接開始前から行動計画が設定されるまでの間の、保健師の行為や認識・判断について経過に沿って聴取し、それを録音した。その後、保健師の思考内容を抽出し、「行動計画設定シート」の開発に向け、保健師の思考過程を分析している。
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