本研究の目的は、生活習慣病対策として開始された特定保健指導において、対象者のやる気を引き出し、継続可能な行動計画の設定が求められる初回面接に焦点を当て、保健指導を効果的に実施できるような「行動計画設定シート」を開発し、その妥当性・有用性を検証することである。このシートは、保健指導時に対象者の状態を見極め判断する過程と、得た情報や判断したことを記入できる欄を設けた用紙である。これに沿って保健指導を行うことで、初回面接で行動計画を効果的に設定する助けとなり、保健指導の質の確保に寄与することを目指す。 平成23年度は、平成22年度に実施した保健師へのインタビュー調査の結果を分析し、特定保健指導を実施する保健師の思考を言語化し、その過程を図示した。それは、「対象者が自分の問題に気づき自分で行動計画を立てる」という大きな思考の柱の他に、それを支える2つの思考の柱「対象者との面接時間をスムーズに進める」「相手の反応を読み取る」の3つが存在した。 そしてインタビュー調査を実施した保健師6人のグループと、インタビュー調査を実施していない保健師5人のグループに、それぞれ保健師の思考過程の図を提示し、結果の妥当性と活用可能性についてグループディスカッションを実施した。その結果、保健指導の思考の3つの柱は、保健指導を行う上でどれも非常に大切なものであり、常に影響しながら保健指導が進められていることが明らかとなった。
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