本研究の目的は、保健師が特定保健指導を自己評価するための評価シートを開発することである。平成22年度にインタビュー調査を実施し、平成23年度にグループインタビューを実施した。その結果、保健指導に必要な思考として「対象者の全体像のイメージ:4項目」→「健康問題の共有:5項目」→「生活習慣改善意欲の引き出し:4項目」→「生活習慣改善目標の設定支援:9項目」という思考プロセスと、全プロセスにおいて「心理の洞察:4項目」「面接のすすめ方の検討:5項目」という思考(計31項目)が導き出された。この思考の各項目の妥当性を検証することを目的に、平成24年度には以下の調査を行った。 3年以上の特定保健指導経験を有する保健師186人を対象に、保健指導時の思考31項目について、項目の必要性(とても必要である:4、やや必要である:3、あまり必要ない:2、まったく必要ない:1)と、実施状況(いつもしている:4、時々している:3、あまりしていない:2、ほとんどしていない:1)、および項目名のわかりにくさについて、無記名自記式質問紙調査を行った。 結果、有効回答率40.3%であった。項目の必要性は、平均3.6点~4.0点、通過率(とても必要である、やや必要であるとされた者の割合)92.0%~98.7%であった。実施状況は、平均3.1点~3.8点、通過率(いつもしている、時々しているとされた者の割合)72.0%~98.7%であった。項目名のわかりにくさについては、「わかりにくい」と回答があった項目、もしくは無回答であった項目の割合を合算すると、0.9%~5.8%であった。以上のことから、思考の31項目は、保健指導時の保健師の思考として妥当であることが明らかとなった。回答困難な項目については項目の表現を見直し、今後は評価シートの実用化に向けて、試行と効果検証を実施する予定である。
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