本研究は、地域で伴侶動物と暮らす人々がもつ生活習慣特性を活用した、コミュニティ育成のための支援プログラムの開発を目的としている。このプログラムには伴侶動物と暮らすことによる個々の健康増進の側面と、人々の交流を高めるという地域づくりの側面の2つの方向性がある。初年度は文献検討および伴侶動物と暮らす人々を対象にインタビュー調査を行ない、伴侶動物飼育による生活および健康の変化、他者との交流関係について分析を行なった。 1.文献検討の結果 Pubmedを用いて"Human Animal Bond"をキーワードに動物介在活動・研究に関する文献を収集し、先行研究の対象者、介入方法、測定されている動物介在の効果などについて文献レビューを行なった。 2.インタビュー調査の結果 関東近県で犬と生活をしている30~50代の男女10名を研究対象として半構成的インタビューを行なった。分析結果から、飼育者にとっての「犬」の存在とそこから飼育者自身が得られる心理社会的効果、伴侶動物との共生が可能にする他者とのかかわりの内容が示された。伴侶動物飼育者を対象とした地域における健康増進や交流プログラム、またこの集団の凝集性を活用した地域づくりプログラム開発の必要性が示唆された。 3.専門的知識の収集 人と動物の関係に関する研究、地域づくり・街づくりに関する研究について、国内の学術集会に参加し、専門的知識の収集を行なった。またCBPR(Community Based Participatory Research)およびコミュニティ研究の専門家より指導・助言を得た。
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