研究初年度の今年は、文献レビューを実施し、先行研究の精査を行い、それをもとに研究デザインならびに調査項目を決定した。その後、倫理委員会へ審査申請をするとともに、調査協力依頼先との調整とフィールド確保という本調査準備に費やした1年であった。在宅介護者の腰痛に関する先行研究そのものが、非常に少ない状況にあり、その実態把握から調査する必要がある。また、介護者の健康関連調査としては、精神的健康や介護負担感といった調査が中心であることも文献レビューからも明らかになった。このことから、腰痛調査の実施に際しては、調査対象者の基本属性・介護状況・日常生活状況・睡眠状況・精神的健康・身体的健康の主観的データとあわせて客観的データの収集も試み、包括的なアセスメントによる健康状態の中の腰痛の実態というアプローチと分析が必須と判断している。実態把握後には、支援策や対策プログラムが検討できるよう、調査項目とあわせて介護者を取り巻く環境と社会資源等にも着目しつつ調査等を実施したいと考えている。介護者の状況についてもっとも把握し易く、必ず接点のある専門職として要介護者の担当ケアマネージャーが挙げられるが、ケアマネージャーのバックグラウンドは多種多様である。要介護者を支える介護力について、介護者の健康も含めたアセスメントとその対処能力については、個人差が非常に大きい現状もあることが、調査前の協力者との調整や聞き取りから把握している。このことからも、調査結果を踏まえて支援策等の提案を目的とした知識啓発的な情報冊子等作成にもその説明内容等については注意が必要であろう。
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