本研究の第一の目的は、医療依存度の高い重度障害を有するALS療養者が、地域で暮らしていくために必要な支援内容を具体的に明らかにすることである。第二に、療養生活の実態と支援内容についての構造の解明を行い、独居生活を可能にする在宅生活移行プログラムの構築を目指すことである。 24年度は、まず難病療養者への支援者に関する調査を行った。保健師の支援においては、必要なサービスの提供のための連絡調整(専門医の確保、レスパイト入院病床の確保、介護・医療サービスの確保等)支援ネットワークの構築等があげられる。とりわけ、長期療養の方への支援として、コミュニケーション手段の確保、精神的支援、外出支援に関する支援があげられた。 保健所は、特定疾患医療給付制度の申請窓口として国の難病対策要綱に位置付けられているため、新生児の相談を通して、難病療養者のニーズを把握できる。保健所保健師は、管内市町村の難病療養者を対象としながら、広域的な調整機能を果たす役割を実践しているが、都道府県・政令指定都市によっては、難病連絡協議会や難病相談・支援センターへ業務委託している状況である。したがって、地域における難病療養者生活実態や事業所の数などの地域の実情把握について、役割や在り様は地域によって様々である。難病療養者は包括的にコーディネートする支援者を必要とするが、制度の複雑さをはじめとした理由により体系的な支援を得ることが難しく、そのような観点からも保健師の果たす役割は重要である。
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