研究の全体構想は、長期に入院する統合失調症患者の社会復帰を促進するための一戦略として、対人関係の向上に焦点化したセラピューティックレクリエーションプログラムを開発し、将来的にはその成果を活用してプログラムの効果を測定する尺度を開発し、プログラムの効果を量的に測定することによって、開発したプログラムを一般化することである。本研究は、この全体構想を達成するための第一段階の研究として位置づく。 本研究の目的は、長期に入院する統合失調症患者に対して、対人関係の向上に焦点化したセラピューティックレクリエーションプログラムを開発および実施し、それを患者の主観的経験に基づいて検討することにより、臨床的有用性を評価することである。 研究2年目にあたる平成23年度は、開発したプログラムを実施し、長期に入院する統合失調症患者の対人関係に関する認識がどのように変化するかを詳述することを開始した。プログラムの実施方法は、開発した看護者用のマニュアルに基づき、研究者がリーダーとなって実施した。データ収集の方法は、プログラムの実施前後に個別のインタビュー調査を実施した。分析方法は、インタビューの内容を録音して逐語録を作成し、逐語録から対人関係に関する内容を抜粋し、継続的比較分析することによって、カテゴリーを生成した。分析を終えた対象者は2名である。結果、プログラム実施前は、他者が怖いと思い、自分から積極的に他者と関わろうとしないことが多かったが、プログラムへの参加を通して、人と輪になれた経験をし、ゆとりを持って話し合えるようになったことなどが明らかになった。
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