研究概要 |
本研究は、日本における産業看護職に必要な能力およびその能力を向上させるための教育方法を明らかにすることを目的としている。今年度は、国内外で報告されている産業看護職の能力やコンピテンシーに関する文献レビューを基に、日本の産業看護職に必要な能力の枠組み、及びそれぞれの能力枠組みにおいて初任期の産業看護職に求められる能力の原案を作成した。本研究では、産業看護職の定義を「企業,健康保険組合,労働衛生機関等に所属し,産業保健スタッフとして事業場の産業保健活動に従事する保健師・看護師」とし、事業場内診療所において医師の診療補助のみを職務とする看護職は除くこととした。また、産業看護職となって3年以内を初任期とした。 原案を作成は、国内外の文献を参考に行った。その結果、(1)作業環境管理を行うための能力(2)作業管理を行うための能力(3)労働者個人の健康管理を行うための能力(4)安全衛生教育とヘルスプロモーションを行うための能力(5)総括管理に関する能力(6)組織の一員として他職種と円滑に協働するための能力(7)専門職としての成長・研鑽に関する能力(8)調査・研究に関する能力8つのカテゴリーが抽出された。また、各カテゴリーにおいて初任期に必要とされる具体的な能力を小項目として40項目抽出した。次年度は、これら40項目の、初任期の産業看護職に必要な能力としての妥当性を検証するため、専門家20名を対象に郵送法による項目精査および内的妥当性の検証を実施する。また、この結果を基に必要な能力の案を確定し、全国の産業看護職を対象に質問紙調査を実施、初任期における産業看護職に必要な能力を確定する予定である。
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