本研究の目的は、統合失調症の母親をもつ子どもの体験を明らかにし、統合失調症の母親をもつ子どもへの看護支援として、心理教育プログラムを開発することである。今年度は、統合失調症の母親をもつ子どもの体験に関する先行研究を調べ、文献検討を行った。統合失調症の親をもつ子どもに関する研究は、1970年代後半頃より行われていたが、そのほとんどが遺伝に関する研究であり、統合失調症の親を有する子どもは精神疾患を有する可能性においてハイリスクであるという観点の研究が多かった。2005年頃になると、統合失調症の母子関係に関する研究が少しずつ行われてきているが、その多くは統合失調症である母親、特にその育児に対する支援が中心に研究されていることが明らかになり、本研究の対象となる統合失調症の母親をもつ子どもに関する研究は極めて少なかった。また、心理教育プログラムの活用については、当事者や当事者の親、兄弟を対象とするものが多いことも明かになった。今年度は研究方法において、インタビューの内容の分析をどのように行うかを検討した。統合失調症の母親をもつ子どもに対してインタビューで得られる体験の内容は、非常に個人的で難しい問題に踏み込み内容であることが予測されるため、どのようにアプローチし、分析するかを綿密に準備し、インタビューガイドを作成した。今後は、非常に個人的で難しい問題に踏み込み内容のインタビューになることが予測されるため、対象者の選定を慎重行い、倫理的配慮を十分に吟味し対象者に実際にインタビューを行っていく予定である。
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