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2010 年度 実績報告書

在宅ALS人工呼吸療養者における口腔ケアの問題と口腔ケア技術の体系化に関する検討

研究課題

研究課題/領域番号 22792304
研究機関(財)東京都医学総合研究所

研究代表者

松田 千春  (財)東京都医学総合研究所, 東京都神経科学総合研究所, 研究員 (40320650)

キーワード筋萎縮性側索硬化症 / 人工呼吸療法 / 口腔ケア
研究概要

本研究の目的は、筋萎縮性側索硬化症(以下、ALS)在宅人工呼吸療養(以下、HMV)者の口腔に生じる問題を明らかにし、口腔ケア技術を体系化することである。1)ALS/HMV者の口腔の問題とその対応の実際について明らかにすること、2)ALS/HMV者の口腔ケアの体系化を行う2つの観点から、初年度は、1)を中心に行い、ALS/HMV者の口腔および口腔ケアに対する実態調査、療養経過と支援方法に関して整理し以下の成果を得た。
本研究では、ALS/HMV者52例の口腔に生じていた問題を聞き取り調査により抽出し、さらに14例について口腔ケアに関する参加観察調査を行った。うち4例に対しては歯科医や歯科衛生士との連携により口腔リハビリテーションを取り入れた口腔ケアを実施した。その結果、口腔の問題としては、唾液(流挺過多など)28例、開閉口困難18例、舌の肥大化13例、咬舌13例、舌の乾燥10例などが指摘された。舌については、ALSの診断ガイドラインとして球麻痺所見にあたる舌の麻痺,萎縮,線維束性収縮が示されているが、ALS診断時に舌の萎縮が認められたものの、その後の経過で舌が肥大化する症状が認められていることが明らかとなった。口腔ケアの問題としては、身体の固縮や疲労によりヘッドアップや顔を横にむけることができなかったり、頭部後屈位をとる以外に開口できる手段がなく咽頭付近に唾液が貯留する状況であるなど誤嚥防止策がとれないこと、口腔内への刺激などによる唾液量の増加に応じた吸引の判断や人工呼吸管理等の知識・技術が必要であること、個々に応じた意思伝達手段の習得が必要であること、これらALS/HMV者に特化した専門的な知識や技術をもつ介助者の確保が難しいこと、などが指摘された。なお、舌の肥大化については歯科医、歯科衛生士の協力を得て口腔リハビリテーション、マウスピースの取り組みを行っているところであり、次年度は口腔の問題の対策に関する検討と支援方法についての体系化を図ることが課題である。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2010 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (7件)

  • [雑誌論文] ALS在宅長期人工呼吸療養者の口腔内状況と口腔ケア方法の現状と課題2010

    • 著者名/発表者名
      松田千春、中山優季、小倉朗子、大竹しのぶ、長沢つるよ、板垣ゆみ、原口道子
    • 雑誌名

      日本難病看護学会誌

      巻: 14(3) ページ: 195-200

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 意思伝達困難時にあるALS人工呼吸療養者における対応困難な症状とそ対応に関する研究2010

    • 著者名/発表者名
      中山優季、小倉朗子、松田千春
    • 雑誌名

      日本難病看護学会誌

      巻: 14(3) ページ: 179-193

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 筋萎縮性側索硬化症(ALS)療養者の人工呼吸器装着の意思決定過程の分析

    • 著者名/発表者名
      松田千春、飯田苗恵、小倉朗子、中山優季、牛込三和子
    • 雑誌名

      日本難病看護学会誌

      巻: (印刷中)

    • 査読あり
  • [学会発表] ALS・TPPV者における「定量持続吸引」の導入・評価にも関する研究2010

    • 著者名/発表者名
      松田千春、谷口亮一、小倉朗子、中山優季、大竹しのぶ、長沢つるよ、板垣ゆみ
    • 学会等名
      厚生労働省難知性疾患克服研究事業 特定疾患患者の生活の質(Quolity of Life,QOL)の向上に関する研究
    • 発表場所
      東京医科歯科大学
    • 年月日
      2010-12-17
  • [学会発表] Oral secretions scale-test-re-test reliability pilot study in a Japanese Amyotrophic Lateral Sclerosis population2010

    • 著者名/発表者名
      Nakayama, Y., Ogura, A., Matsuda, C., Shimizu, T., Cazzolli, P., Brooks, Br.
    • 学会等名
      21th international symposium on ALS/MND
    • 発表場所
      Orland, USA
    • 年月日
      2010-12-12
  • [学会発表] 「自分の声をのこす」-自分らしさを声質や音に求めて-(実践報告)2010

    • 著者名/発表者名
      本間武蔵、南雲浩隆、須崎清子、馬嶋巧、三浦千裕、中山優季、松田千春、浦井由光、長尾雅裕
    • 学会等名
      第7回日本難病医療ネットワーク研究会
    • 発表場所
      神奈川県民ホール
    • 年月日
      2010-10-02
  • [学会発表] 若年神経・筋疾患療養者の通所施設利用に関する成果と課題2010

    • 著者名/発表者名
      長沢つるよ、中山優季、松田千春、板垣ゆみ、小川一枝、原口道子、大竹しのぶ、小倉朗子
    • 学会等名
      第15回日本難病看護学会学術集会
    • 発表場所
      山形県立保健医療大学
    • 年月日
      2010-08-27
  • [学会発表] 神経難病在宅人工呼吸療養におけるインシデント・アクシデントと対策に関する研究2010

    • 著者名/発表者名
      小倉朗子、中山優季、岡戸有子、桑原和美、高橋香織、川崎芳子、三浦千裕、長沢つるよ、松田千春、小川一枝、兼山綾子、原口道子、板垣ゆみ、大竹しのぶ
    • 学会等名
      第15回日本難病看護学会学術集会
    • 発表場所
      山形県立保健医療大学
    • 年月日
      2010-08-27
  • [学会発表] 人工呼吸ALS療養者における従来のALS症状以外の症状と対応に関する研究2010

    • 著者名/発表者名
      中山優季、松田千春、長沢つるよ、板垣ゆみ、大竹しのぶ、原口道子、小倉朗子
    • 学会等名
      第15回日本難病看護学会学術集会
    • 発表場所
      山形県立保健医療大学
    • 年月日
      2010-08-27
  • [学会発表] ALS療養者の意思伝達手段の変遷と看護の役割2010

    • 著者名/発表者名
      松田千春、中山優季、小倉朗子、長沢つるよ、大竹しのぶ、板垣ゆみ、原口道子
    • 学会等名
      第15回日本難病看護学会学術集会
    • 発表場所
      山形県立保健医療大学
    • 年月日
      2010-08-27

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公開日: 2012-07-19  

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