研究課題
論理式の構造的複雑さを解明するという目的のため、主として以下のような研究を遂行した。まず、既存の論理式モデルの解析技術へと突破口を見開くため、論理式モデルの概念拡張を行い新たな視点から、その構造的な複雑さ解明への検討を行った。既存の論理式のモデルは、入力が2ビットの素子から構成されるものが主流であるが、これに対して本研究では入力が3ビットの多数決論理式からなる論理式モデルを定義し、その拡張されたモデルに対して新しい一般的な下界証明法を与えるとともに、上界の証明を行った。これらの成果を論文としてまとめ、国内研究会にて発表を行った。その後、国際会議COCOON2012へ採択され、発表予定となっている。次に、従来型の論理式モデルに対し、そのサイズ下界の証明手法を改良するために、対象となる論理関数の性質に関して解析を行った。これまで論理式サイズの超二次下界を証明するための主要な候補であった多数決関数の性質に関して偶奇判定関数との対比から解析を行い、その論理式サイズ下界の証明に対する限界について考察を行った。これに関する予備的な報告に関しては、4月に開催された国際会議AAAC2011にて発表を行っている。この多数決関数と偶奇判定関数の対比に関する成果に加えて、再帰的に定義される一般的な論理関数の族に対してその論理式サイズ下界の証明の可能性と限界に関して明らかにすることができた。これらの成果を一つの論文としてとりまとめ、国内研究会において発表を予定しているとともに、国際会議への投稿を行っている。その他、投稿中であった単著論文の改訂作業などを行った結果、学術誌Theoretical Computer Scienceに採択され、掲載予定となっている。また、京都大学学術情報メディアセンターセミナーにおいて、関連する研究成果について一般向けに解説を行った。
すべて 2012 2011 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)
Theoretical Computer Science
巻: Vol.434 ページ: 87-97
10.1016/j.tcs.2012.02.005
Proceedings of COCOON 2012, Lecture Notes in Computer Science
巻: (掲載確定)(未確定)
http://www.lab2.kuis.kyoto-u.ac.jp/~kenya/index-j.html