SPACA1は、哺乳類精子の赤道面に局在し、精子と卵子の融合に機能することが報告されている膜タンパク質である。我々はSpaca1遺伝子欠損マウスを作製し、欠損雄マウスが不妊であることを明らかにした。しかし、この不妊の原因は、ヒトの巨大円形精子症(globozoospermia)と酷似する精子頭部の形態異常であることが判明した。SPACA1が欠損することで、精子形成過程で精子細胞にある先体内膜と核膜との間に存在するnuclear plateの消失を引き起こした。これは精子先体の緩みと一致し、成熟精子から先体の奇形および消失を導いた。つまり、SPACA1は精子形成において必須の因子であり、globozoospermiaに至る分子メカニズムの一端を明らかにした。
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