研究課題
本年度は試作したデバイスによる神経細胞の電位蛍光イメージング技術の確立を目指した。まずHEK293、PC12細胞を用いてon-chip細胞培養を行い、電位感受性蛍光指示薬のRH795による染色条件、high-K^+による細胞刺激手順、蛍光測定条件などを検討した。また光検出半導体素子アレイ上で長期細胞培養するための防水加工、細胞接着コート材の検討を行った。これらの検討をもとに測定用フィルタ透過特性の最適化、蛍光励起用LEDの波長変更を行うなど試作デバイスを改良した。改良した試作デバイス上で新生仔マウス大脳皮質より摘出した神経幹細胞の初代培養を行った。1ヶ月間培養して成熟、分化させた神経細胞で電位蛍光イメージ解析を行った。この結果、high-K^+刺激に応答した神経細胞の脱分極反応をリアルタイムでタイムラプスイメージングすることに成功した。次に試作したデバイスを用いて、マウス大脳皮質急性スライス組織で同様に電位蛍光イメージ解析を行い、刺激強度依存的な応答変化を検出した。またマウス生体脳視覚野領域にデバイスを埋植し、high-K+刺激、刺入電極からの電気刺激、またアトロピンで十分に散瞳させた眼から光刺激を与えて電位蛍光イメージ解析を行った。この際脳組織の染色条件、均一励起光照射のためのLED実装条件などの検討を行い、デバイスを改良して試作した。さらに頭骨と干渉しないようデバイス基板の外形加工、生体脳内へのデバイス埋植方法、長期留置のための術式などを改良することで適用した。また制御ボードの雑音低減と測定ソフトを改変して検出信号の最適化を行い一連のイメージングシステムを改良して再構築した。この結果、生体脳視覚野に埋植したデバイスによる神経細胞の電位蛍光イメージングが可能となった。また、既存技術では不可能な自由行動下マウスの左右視覚野を同時に測定するデュアルイメージングシステムを構築した。
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Function & Materials
巻: 354;31(2) ページ: 24-32
Jpn.J.Appl.Phys.
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http://mswebs.naist.jp/LABs/pdslab/index-j.html