癌の根治的療法として確立されている光線力学的療法(Photodynamic therapy : PDT)は、細胞膜あるいは細胞内小器官を酸化傷害させることで抗腫瘍効果を得ている。本研究では、細胞死を誘導することのないPDTの実施条件を検索、細胞膜の微小酸化を誘起することで、(1)細胞内への巨大分子の導入が可能かどうか、(2)抗癌剤の増強効果が得られるかどうかを検討した。その結果、本研究にて適用したPDTは、HeLa細胞の生存力を維持したまま、分子量10kDa程度の巨大分子の導入が可能であること、およびBleomycinの細胞傷害効果を増強させ得ることを実証した。
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