研究概要 |
本研究で開発する携帯電話による身体活動量測定は,1)数万人規模の多人数にリーチできる可能性がある,2)インタラクティブ(双方向)な通信機能により,個々の特性に応じた質問により測定精度の向上が期待できる,3)多人数のデータ管理が容易で低コストでの利用が見込める,などのメリットが挙げられる. 当該年度は,携帯電話を用いた身体活動測定のためのアルゴリズム開発を目標にして研究を進めてきた.まず以下の5つの開発方針を定めた.1)インタラクティブな通信により回答者の負担を少なくする→3分以内に回答できるアルゴリズムを目指す.2)測定精度の向上のために行動の振り返りの精度を向上させる→曖昧な行動、記憶に対して再度確認をする質問を出す.3)生活パターン改善による身体活動量の変化をとらえやすいアルゴリズムにする.4)従来の質問紙によるPAの評価で生じた誤記入をなくす.5)7日間毎日決まった時間にメールを送信して携帯サイトで回答する仕組みにする.これらの開発方針に従い国内外の文献レビューおよび学会等で情報収集を行った.身体活動に関する詳細な質問は測定精度を向上させるが,一方では詳細な質問を表示させるような仕組みは,多人数が簡易に使えるものになりにくい.この相反する問題を解決することを目指した結果,3つの有力と思われるアルゴリズムを導くことができ,現在ソフトウェアの開発に着手している.当該年度には1000人以上が参加をする地域全体介入を成功させており,大規模なデータ収集に向けたフィールドを整えてきた.この取組みのなかで収集したアンケートによる身体活動に関わるデータは,当該年度末に行われた国際会議(Velo-city 2011)において発表を行った.2年目は,開発したツールの妥当性検証とその応用性,発展性についてデータ収集を行い検討する予定である.
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