研究概要 |
本研究の目的は,腕から計測可能な筋電位を含む多種の生体信号を相互補完的に組み合わせた特徴量を用いて,手の複数の動作意図を精度よく推定する手法を開発することである.本年度は筋電センサおよび距離を計測可能なフォトリフレクタセンサを組み合わせたハイブリットセンサを試作し,これを用いて手の複数の動作を推定する手法を研究した.ハイブリットセンサは,従来の筋電センサ上部にフォトリフレクタセンサを固定することで,筋電と同時に筋の隆起によって生じるセンサー皮膚表面間の距離変化を読み取ることができる. ハイブリットセンサを前腕に4個装着し,筋電およびセンサー筋間距離情報を特徴量として,Support vector machineに基づく動作認識法で動作認識実験を行った.この結果,手の7動作(掌屈,背屈,握る,開く,前腕回内,前腕回外)を,7動作平均で約98%の認識率で認識できることを示した.筋電センサ単独での認識よりも7動作平均で約1%程度の精度向上であるが,従来の手法では認識が困難だった前腕回内と前腕回外の認識率が大きく向上した.センサー皮膚表面間の距離情報を用いることによって,筋電センサの情報を補完できたことが認識率の向上につながったと推測される. また,本手法を用いてロボットハンドを操作可能なシミュレーターシステムを構築した.本システムは,ハイブリッドセンサを装着した状態で60秒間予め決められた動作を行うことで,自動的に使用者に適応し,ロボットハンドの7動作を操作可能である.
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