• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実績報告書

造礁サンゴの代謝を利用した栄養塩インパクト解析

研究課題

研究課題/領域番号 22810015
研究機関琉球大学

研究代表者

中村 崇  琉球大学, 理学部, 講師 (40404553)

キーワードサンゴ / 栄養塩ストレス / 光合成 / 生態系 / サンゴ礁
研究概要

研究計画の2年目である平成23年度は、石垣・西表島周辺海域を中心とした野外サンゴ群集の調査・海水採取と栄養塩濃度測定を実施した。
一部の採取海水の分析については、分光分析法を用いたより精度の高い測定を必要としたため、紫外可視分光高度計を新たに導入した。これにより硝酸・亜硝酸・アンモニウムイオン・リン酸濃度についての詳細データを得ることができたと同時に、サンゴ共生藻類の光合成色素量の測定も可能となった。野外では、光・水温ロガーを設置し、各海域の温度・光環境特性把握をおこなうと同時に潜水調査による多種のサンゴにおける病気の罹患状況と海域の栄養塩特性とに焦点を当てた調査を進めた。各種異常についてカテゴリー分けを進め、野外における異常原因を探索したが、栄養塩濃度の時空間的変動が大きいことから、直接的な結論を導き出すにはいたらなかった。また、昨年度中に得られたサンゴ調査結果を踏まえ、海水中の栄養塩とサンゴ被度との相関性について解析を進めたが、相互の相関性を明確に示すことはできなかった。しかしながら、特定海域における栄養塩濃度の変動傾向をつかむことができた。
室内実験系では、比較的高濃度の栄養塩がサンゴ類に及ぼす影響を明らかにするための実験を実施した。昨年度得られた知見から、沖縄の造礁サンゴの中でも特に栄養塩ストレスに弱いサンゴと考えられるコユビミドリイシおよび、相対的に栄養塩ストレスに強いことが示唆されるエダコモンサンゴやパリカメノコキクメイシなどを選定し、栄養塩負荷を加えた飼育観測実験をおこなった。クロロフィル蛍光法により植物体へのダメージをモニターしつつ行った実験から、比較的高濃度の栄養塩条件下において、共生藻類の光合成異常を伴わない組織剥離などの異常を示す種と比較的影響が見られない耐性種とが明らかになった。昨年度の研究から得られた成果と合わせて、日本サンゴ礁学会および同自由集会などで適宜発表をおこない、多分野研究者との議論を交わすことができた。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] The effect of acidified seawater on coral calcification and symbiotic algae of a massive coral Porites australiensis2012

    • 著者名/発表者名
      Iguchi A, Ozaki S, Nakamura T, Inoue M, Tanaka Y, Suzuki A, Kawahata H, Sakai K
    • 雑誌名

      Marine Environmental Research

      巻: 73巻 ページ: 32-36

    • DOI

      DOI:10.1016/j.marenvres.2011.10.008

    • 査読あり
  • [学会発表] ハマサンゴの成長速度が気候指標に与える影響2012

    • 著者名/発表者名
      林恵里香・石村豊穂・中村崇・井口亮・岩瀬晃啓・酒井一彦・鈴木淳・岡井貴司・川幡穂高
    • 学会等名
      古海洋シンポジウム
    • 発表場所
      東京大学大気海洋研究所
    • 年月日
      2012-01-05
  • [学会発表] Inter-colonial variation of environmental response in Porites australiensisハマサンゴ群体間における環境応答差について2011

    • 著者名/発表者名
      中村崇・鈴木淳・岩瀬晃啓・山崎秀雄
    • 学会等名
      日本サンゴ礁学会
    • 発表場所
      沖縄県那覇市
    • 年月日
      2011-11-04
  • [学会発表] 光合成生物との共生~動物にとっての利点とリスク回避~2011

    • 著者名/発表者名
      中村崇
    • 学会等名
      日本サンゴ礁学会
    • 発表場所
      沖縄県那覇市
    • 年月日
      2011-11-04
  • [学会発表] サンゴ初期ポリプに対する栄養塩負荷の影響2011

    • 著者名/発表者名
      田中泰章・井口亮・井上麻夕里・森千晴・酒井一彦・中村崇・鈴木淳・川幡穂高
    • 学会等名
      日本サンゴ礁学会
    • 発表場所
      沖縄県那覇市
    • 年月日
      2011-11-04
  • [学会発表] 高水温と海洋酸性化の複合ストレスがコユビミドリイシと共生藻に与える影響2011

    • 著者名/発表者名
      大木駿・田中泰章・鈴木淳・中村崇・酒井一彦
    • 学会等名
      日本サンゴ礁学会
    • 発表場所
      沖縄県那覇市
    • 年月日
      2011-11-04

URL: 

公開日: 2013-06-26  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi