研究概要 |
作業内容1「パピルス文書の高精細写真撮影」: H22年度はフルサイズデジタルカメラで資料の撮影を行ったが,画素数と撮像素子が小さく,引き伸ばした際に画像が荒れることがあった.そこでH23年度には中判デジタルカメラMamiya AFDIII+デジタルバッグPhase One P45でBM10221を撮影し,約4000万画素の高精細画像を得た. 作業内容2「画像データベースの作成」: 2つのパピルス(BM10682とBM10221)について,文字を単位としたデータベースをFile Maker pro11を使用して作成した.これは,文字コードや行数などの情報を入力すると,該当する文字のメタ情報と画像とが示されるというものである. 意義:目下のところ,古代エジプト神官文字の字形研究の基本書は1909-12年に作成されたMoller,G.Hieratishce Palaeographieが基本書となっている.ところが,本書に掲載されている字形はMollerが手書きで写したものであるため,実際の資料と異なることがあった.また,掲載されている事例もMollerが選択したものに限られ,資料に見られるすべての字形を確認することができたいという欠点があった.このような現状において,本研究はわずか2点のパピルス文書を対象としたものではあったが,資料上のすべての文字を対象とした画像データベースを作成したことにより,文字の字形を画像でもれなく検索することができるようになった.なお,本研究で作成した神官文字の画像を利用した字形データベースは世界初の試みである.
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