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2011 年度 実績報告書

ロンドン王立協会の初期活動における音楽理論の研究

研究課題

研究課題/領域番号 22820011
研究機関東京大学

研究代表者

大愛 崇晴  東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教務補佐員 (70587980)

キーワード音楽理論 / 科学革命 / イギリス / 王立協会 / トマス・ウィリス / 趣味論 / 音楽美学 / ハチソン
研究概要

本研究課題は、17世紀科学革命期の英国において、史上最初の科学者団体であるロンドン王立協会が音楽理論についてどのようなアプローチをしていたのかを解明することを目的としている。二年目にあたる平成23年度は、前年度の研究成果を受け継ぎ、王立協会会員で、医者、解剖学者であったトマス・ウィリス(1621-75)の著作『脳の解剖学』(1664年)における音楽聴に関する神経生理学的な見解と、同時代の英国の音楽理論家による音楽についての趣味論的な議論との関連について研究を行った。ウィリスによれば、音楽の知覚は不随意的な身体運動を司る小脳によって担われ、そこに音楽的な記憶が蓄積される。そして、音楽の知覚が意思や欲求を司る大脳に関与しないということは、それが身体的な直感性に根差していることを示している。このウィリスの知見は、少なくとも、ウィリアム・ホールダー(1616-97/98)とトマス・サモン(1648-1706)という二人の同時代の音楽理論家によって受容されたことが確かめられる。彼らは「なぜ音楽を好む人と好まない人がいるのか」という趣味論的な関心のもとにウィリスの知見を位置づけているが、このような関心自体はウィリスにおいて顕在化していたものではない。しかし、サモンの他、ハチソンやカント等18世紀の論者たちが、音楽聴に快を見出す特別な能力(=趣味)の存在を認め、その判断の直感性を指摘していることを考えると、ウィリスの脳科学的な知見は、音楽における趣味判断の直感性を生理学的に説明したものとして、ホールダーとサモンに理解されたものと推察される。
この研究成果は、平成23年10月に東北大学で開催された第62回美学会全国大会において口頭発表し、論文として学術雑誌『美学』第240号(平成24年6月刊行予定)に掲載予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Pietro Mengoli's Theory of Musical Intervals : A Mathematical Approach to the Sense of Hearing in the Scientific Revolution2011

    • 著者名/発表者名
      OAT Takaharu
    • 雑誌名

      Aesthetics

      巻: No.15(Online Version) ページ: 125-137

    • 査読あり
  • [学会発表] トマス・ウィリスの「音楽的な耳」と音楽の快の知覚-科学革命期の英国における神経生理学と聴覚的感性-2011

    • 著者名/発表者名
      大愛崇晴
    • 学会等名
      第62回美学会全国大会
    • 発表場所
      東北大学
    • 年月日
      2011-10-16

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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