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2010 年度 実績報告書

古代ローマ帝国元首政期における皇帝とイタリア諸都市の関係についての考察

研究課題

研究課題/領域番号 22820020
研究機関東京大学

研究代表者

中川 亜希  東京大学, 大学院・総合文化研究科, 学術研究員 (80589044)

キーワード古代ローマ / イタリア / 碑文 / 皇帝 / 都市 / 徳
研究概要

今年度は、北イタリアの碑文に注目して研究を行った。皇帝や都市の名望家たちの財政的貢献が、どのような「徳」を示す言葉によって表現されているのかを調査した。そのためイタリアに行き、史料収集を行い、また碑文の専門家と意見交換を行った。
徳に言及したイタリア全土の碑文に関する研究と比較した結果、北イタリアでは、他の地域とは異なり、財政的支援を表現するために、liberalitasという語が特に好まれていたという特徴が明らかになった。liberalitasは、共和政末期の政治家ユリウス・カエサルと結びつけられる語である。共和政期には、気前の良さを表現する徳であると同時に、時に過度の出費や賄賂とも結びつけられ、否定的な意味でも用いられていた。イタリア全土の碑文を見ると、元首政期になっても、否定的な意味をも持つliberalitasの使用は避けられ、かわりに同様に財政的貢献を表現するmunificentiaが好まれたとされる。しかし北イタリアでは、munificentiaは圧倒的に少なく、liberalitasが好まれたことが明らかになった。カエサルの政治的な地盤であった北イタリアでは.、首都ローマで受入れられていた政治的な解釈に基づきliberalitasの使用が避けられるようなことはなく、カエサルのliberalitasの記憶から、イタリアの他の地域では避けられたとされるこの語が帝政期にもなお好まれたということを考察し、論文として準備した。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2010

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] 古代地中海世界のダイナミズム-空間・ネットワーク・文化の交錯(論文集)2010

    • 著者名/発表者名
      中川亜希(桜井万里子・師尾晶子編)
    • 雑誌名

      北イタリアにおける皇帝イメージ-碑文にみられる徳をとおして

      ページ: 298-321

  • [雑誌論文] ある元老院議員の顕彰と都市の状況2010

    • 著者名/発表者名
      中川亜希
    • 雑誌名

      歴史と地理-世界史の研究

      巻: 223 ページ: 56-59

URL: 

公開日: 2012-07-19  

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