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2011 年度 実績報告書

ワロン語の復権運動の現状と問題点に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 22820021
研究機関東京外国語大学

研究代表者

石部 尚登  東京外国語大学, 世界言語社会教育センター, 研究員 (70579127)

キーワード言語政策 / ベルギー / 方言 / ワロン語 / 内発的地域語 / 復権運動 / 地域語・少数言語 / 社会言語学
研究概要

平成23年度は、昨年度の調査を踏まえ、「内発的地域語評議会」、「ワロン語・文学協会」、「ワロン文化協会」、「大小様々な運動団体」の4つのワロン語の擁護に携わる団体の各カテゴリのワロン語の「標準語」についての立場と、19世紀後半に存在したワロン運動の伝統が現在の運動に及ぼしている影響について調査を行った。
前者については、11月初旬にベルギーで実施した復権運動の関係者への聞き取り、昨年度収集したワロン文化協会刊行の雑誌『ワロンヌ』掲載の記事の分析を通して、先の4つのカテゴリのうち、より公的な度合いの高い団体はワロン語を文学の言語として保存することを目標とし、一方で、より公的な度合いの低い団体は日常の言語として復権させることを目標と設定しているという対照的な構造が明らかになった。また、実際の言語法の整備・施行状況や公的な言語機関の活動状況との比較により、そうした運動内に存在するワロン語の目指すべき将来像に関する立場の違いが運動の進展への阻害要因となっていることを示した。
後者については、先述の『ワロンヌ』掲載の記事と、同協会が19世紀後半から刊行していた『ワロン文学協会年報』と『ワロニー語・文学協会会報』の両雑誌のそれとの比較を行った。その結果、かつて対オランダ語(フラーンデレン語)の文脈でワロニーの言語的均質性を主張するために創り上げられたワロン語観が現在においてもそのまま受け継がれていることを確認し、こうした19世紀後半のワロン運動の伝統が現在の運動に及ぼしていることを示した。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] ヨーロッパにおける「言語の領域性」-ベルギーの政策的言語境界線の生成と固定について2011

    • 著者名/発表者名
      石部尚登
    • 雑誌名

      多言語社会研究会大会年報

      巻: 6 ページ: 85-106

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 地域語と学校:ベルギーのある自治体における新しい試みから2011

    • 著者名/発表者名
      石部尚登
    • 雑誌名

      ことばと社会

      巻: 13 ページ: 103-125

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ベルギーの「国内少数者」としてのドイツ語話者-その歴史的領域と現在の公的領域について2011

    • 著者名/発表者名
      石部尚登
    • 雑誌名

      Sprachwissenschaft Kyoto

      巻: 10 ページ: 13-36

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 多言語主義と相互学習主義-ベルギーにおける第2言語教育から2011

    • 著者名/発表者名
      石部尚登
    • 雑誌名

      言語政策

      巻: 7 ページ: 1-23

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 研究ノート:ベルギーの新聞における「向こう側の共同体」の語られ方を語のネットワークから探る2011

    • 著者名/発表者名
      石部尚登
    • 雑誌名

      コーパスに基づく言語学教育研究拠点研究報告集

      巻: 7号 ページ: 91-113

    • 査読あり
  • [学会発表] ベルギーにおける行政区分と言語区分の関係2011

    • 著者名/発表者名
      石部尚登
    • 学会等名
      関西ベルギー研究会第32回例会
    • 発表場所
      西宮市大学交流センター(兵庫県)(招待講演)
    • 年月日
      2011-10-23
  • [学会発表] 「方言」の視点から見たベルギーの言語政策史2011

    • 著者名/発表者名
      石部尚登
    • 学会等名
      多言語社会研究会第51回例会
    • 発表場所
      東京外国語大学サテライト(東京都)(招待講演)
    • 年月日
      2011-05-28

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公開日: 2013-06-26  

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