研究概要 |
弥生時代における海上交通がどのようにして行われたのか,また,どのような人々が海上輸送を担ったのかを解明するべく,研究初年度は以下の各項目を実施した。1.弥生時代海人集団のベースキャンプと考えられる新潟県佐渡市高瀬浜端洞穴に注目し,まずは同遺跡の出土遺物を再実測することで基本情報の把握につとめた。佐渡市相川郷土博物館に収蔵されていた資料についてはほぼ資料化作業を終え,現在,資料の位置づけ等の検討をすすめている。成果は2011年内に報告する予定である。 2.海上交通の実態を探るべく,海岸遺跡の集成作業を実施した。当初予定していた北陸地方分についてはデータベース化を完了させた。研究の途中経過ではあるが,市民向け講演会などで報告し,成果を還元することができた。本年度も継続してデータベースの作成を進めるとともに,当時の交通の特性について検討を深める予定である。3.日本海交通の実態を広域的に俯瞰し,文化圏を越えた共通性や,地域ごとの固有性を抽出するために,韓国・釜山大学校博物館を訪れて慶南・泗川市勒島貝塚の出土資料を検討した。現地では,韓国人研究者と資料の位置づけに関する意見交換を行うだけではなく,方法論についても意見を交わし,この分野の研究が解決すべき問題点を確認した。
|