近世の公家文化について、その家職がどのように民間社会に流布・展開を明らかにすることを目的とした。第一に近世公家家職の全体的な展開過程を分析し、そもそも公家の家職も中世・近世の中で様々な展開や創生されていることが明らかになった。次いで、近世公家家職そのものを理解しなくてはなぜ民間社会に流布し得たのかの分析が不可能であると思い、家職を総合的に研究した。第二に公家家職の中でも近世になって再発見されて幕末に飛躍的に民間社会と結合していく四条流庖丁道の具体相を研究した。四条流庖丁道は近世後期に秘伝と由緒を作り、幕末には大坂・兵庫・京都などに多くの門人を獲得するに至った。
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