本研究は現代中国における司法機関(特に最高人民法院)による積極的な法形成活動に注目し、その主な手段である「司法解釈」(一種の通達文書)の役割と問題点を分析し、最近新たに導入された手法である「案例指導制度」(裁判例を先例として公布し、裁判活動を指導する制度)の運用情況の解明を試みた。中国においても、裁判例が先例として機能し、事実上の拘束力を持つことで、当事者である一般市民の訴求を法に反映する場合があることを実証した。ただし、司法による法形成の諸制度はあくまで裁判統制の一環であり、共産党による一党独裁を維持するための装置に過ぎない。
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