本研究は、社会的に憂慮されている、思春期の子どもたちの精神健康上の問題や学校不適応を予防するための支援策構築に資することを目的として、彼らを取り巻く心理社会的な学校、家庭における環境要因、特に幼少期における家族の習慣の形成度および現在の家族関係、学校帰属感覚、精神健康について実態を把握し、子どもたちの幼少期および現在の家庭環境と学校帰属感覚や精神健康との関連性を明らかにすることを目的としている。平成23年度は、平成22年度に研究協力を得た山形県内公立中学校1校(第2学年113名)、山形県内県立高校1校(第2学年292名)を対象とした無記名自記式質問紙調査を12月に実施した。調査では中学生に対しては幼少期の家庭環境、学校帰属感覚(生徒からの受容的環境、教師からの受容的環境、所属感覚)、精神健康、心身症状について、高校生に対しては現在の家庭環境、学校帰属感覚、精神健康、心身症状について尋ねた。 解析は実施中だが、現在までに明らかにされたことは次の通りである。 中学生においては、男女ともに家族の凝集性の高さおよび学校帰属感覚の高さと精神健康、心身症状の良好さとの間に正の関連が見られた。一方、家族の適応性の高さは男女ともに精神健康、心身症状との間に有意な関連は見られなかった。 高校生においては、男女ともに家族の凝集性の高さと精神健康の良好さとの間に正の関連が認められた。男子においては、家族の適応性の高さとの間にも精神健康の良好さとの関連が見られた。また男女ともに学校帰属感覚の高さと精神健康、心身症状の良好さとの間に正の関連が見られた。
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