本研究の目的は、近代以降導入された「近代的土地所有権」制度下において、温泉資源の利用秩序がいかなる変容を遂げたのか、源泉利用の歴史的変遷や温泉資源の保護のあり方を通して、我が国における資源管理の特質と資源利用を通じた地域開発・発展のあり様を明らかにすることである。平成22年度は、兵庫県城崎温泉、愛媛県道後温泉の二つの温泉地を対象に文献・実地調査を行った。 (1)東京において、一橋大学、慶應義塾大学、早稲田大学の各大学図書館に所蔵されている城崎・道後温泉関連の資料(観光案内等)、国会図書館では、両温泉地に関する資料(自治体史ならびに温泉関係の資料)の収集を行った。 (2)道後温泉については、松山市の愛媛県立図書館において、伊予史談会所蔵の『道後温泉史料』の閲覧・複写を行い、明治期から昭和初期にかけての文献資料を収集した。あわせて、松山法務局で道後温泉地域の登記簿・土地台帳の閲覧・複写(登記簿謄本の申請)を行った。また、松山市史編纂室所蔵の「道後湯之町関連書類」については、史料整理の都合から、平成23年度の閲覧、複写を実施することとした。 (3)城崎温泉については、神戸、明石の県立図書館、文書館において関連資料の収集を行った。豊岡市では、法務局で道後温泉と同様に、登記簿・土地台帳の閲覧・複写を行った他、城崎温泉の源泉を管理している湯島財産区所蔵の温泉関連の資料閲覧を申請し、特別に撮影が可能となった。豊岡市役所他、地域の行政機関との連携の必要から、平成23年度に調査内容等の報告を予定している。
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