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2010 年度 実績報告書

授業における教師のフロー体験に内在する実践的意義の探究

研究課題

研究課題/領域番号 22830032
研究機関福井大学

研究代表者

木村 優  福井大学, 教育学研究科, 研究員 (40589313)

キーワード教師の感情 / フロー / ESM / 教職の専門性 / 中等教育学校
研究概要

本研究の目的は,フロー理論を分析枠組みに措定し,(1)授業中,教師に生起する喜びや楽しさといった快感情が教師自身の認知,行動,動機づけにどのような影響を及ぼすのか,(2)教師は快感情を強く経験する授業で生徒に対してどのような働きかけを行い,生徒はそれにどのような反応を示すのか,の2点を検討し,授業における快感情経験が教師の実践を具体的にどのように支え,洗練するのに寄与しているのかを明らかにすることであった。
そのために,平成22年度にはフロー理論とその研究手法,および教師の感情に関わる基礎研究を行うと共に,フローを捉えるために開発された経験抽出法質問紙(ESM)の教師用を開発した。教師用ESMの開発にあたっては,中等学校教師を対象に授業終了直後,質問紙調査を複数回実施し尺度の信頼性・妥当性を高めた。また,平成22年度中には上記の基礎研究および開発研究が進展したため、平成23年度実施予定の実践研究も開始した。その研究結果を受け,特に,授業における教師による実践の省察と感情との関連性について研究を進め,日本教育方法学会第46回大会で研究発表を行い,福井大学教育地域科学部紀要に研究論文を投稿,採択され,教師の快感情経験に関する理論を前進させるに至った。
以上,平成22年度研究成果として得られた知見として,教師は授業の挑戦水準と自己の能力水準を高く評価する授業で喜びや楽しさを強く経験し,同時に注意集中といった認知能力,生徒に対する積極的な働きかけや活力といった活動性,授業への専心没頭と統制感が高まることが示唆された。以上の研究成果か,授業におけるフロー体験が教師の即興性や創造性などの専門性の発揮と発達を促す役割を果たしているという重要事象の存在が示唆され,本研究の意義として,教育実践と教職専門性研究双方に有益な示唆を与えることが示された。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2010

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 協働学習授業における高校教師の感情経験と認知・行動・動機づけとの関連-グラウンデット・セオリー・アプローチによる現象モデルの生成-2010

    • 著者名/発表者名
      木村優
    • 雑誌名

      教育心理学研究

      巻: 58 ページ: 464-479

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Expressing emotions in teaching : Inducement, suppression, and disclosure as caring profession2010

    • 著者名/発表者名
      Kimura, Yuu
    • 雑誌名

      Educational Studies in Japan

      巻: 5 ページ: 63-78

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 教師教育におけるナラティブと感情-授業中の感情的出来事に関する教師の省察の事例分析-2010

    • 著者名/発表者名
      木村優
    • 雑誌名

      福井大学教育地域科学部紀要2010

      巻: 1 ページ: 197-209

    • 査読あり
  • [学会発表] 授業中の感情経験が教師に導く省察過程-高校教師の語りにもとづく感情の実践的意養の探究-2010

    • 著者名/発表者名
      木村優
    • 学会等名
      日本教育方法学会第46回大会
    • 発表場所
      国士舘大学(世田谷キャンパス)
    • 年月日
      2010-10-09

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公開日: 2012-07-19  

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